運動療法 正しい歩き方 Chapter 2-⑧
歩くことは、運動療法の基本である。
そんなことは誰でも知っている。
15年位前に、デューク更家氏のウォーキングが、
一世を風靡したことはご記憶だろうか?
当時、氏の教室は予約できないくらい盛況だった。
ただ、毎日頭にりんごを乗せて歩く訳にはいかない。
取り上げるのは、スポーツとしてのウォーキング
ではなく、日常生活の中で、バランスの取れた、
正しい歩き方をするということである。
人間生まれて歩き出してから、正しい歩き方を
習った人はほとんどいない。
正しいか、そうでないかは別として、多くの人は
自己流の歩き方をしている。
私もその一人であった。
個人的に、つい最近まで膝痛と股関節痛のために
足を引きずるようにして歩いていた。
バランスが悪いことは十分にわかっていた。
しかし、痛みがある以上は、止むを得ない。
1年前までは、1日1万歩が健康にもよいと信じ、
ほぼ毎日歩いていた。
そのときも足を引きずりながら、毎日歩いていた。
その結果、逆に膝や腰の痛みが増してきたのだ
それ以外に、実際に今まで問題のなかった箇所、
右ヒザや腰・背中まで急に痛みが生じてくる始末。
完全に逆効果となった。
膝痛、腰痛、股関節痛を起こし、整形外科に通院した。
主治医から、その原因が普段の歩き方にあると指摘。
歩き方の矯正することになった。
その時、整形外科主治医から聞いた「負のサイクル」。
これは以下の通りである。
痛む⇒②かばう⇒③バランスを崩す⇒④別箇所が痛む
⇒④かばう⇒⑤バランスを崩す⇒⑥また別の箇所が
痛む⇒・・以下繰り返す。
この負のサイクルが続くと、痛みが次第に慢性化する。
「卵が先か、鶏が先か」の話になるが、まずは第一に、
「かばう」のを止めることだった。
初期の段階は痛みを我慢しつつ、正しい歩き方をする。
例えば、日常生活で歩き方が正しくないのなら、
現状痛みを緩和するよりも先に、歩き方を正すのが
第一優先ということであった。
対処療法でなく、原因療法につながるだろうか。
普段歩き方トレーナーとしての看板は出していなくとも
実際にトレーニングできる人は意外に多い。
基本的に整形外科や整体院の先生に相談してみれば
スポーツトレーナーにふさわしい人は直ぐに見つかる。
私も、紹介されたトレーナーに正しい歩き方を習う。
少しずつ歩き方を見直し、矯正していくことになった。
歩き方の癖は個々さまざまであり、実際にバランスよく
歩いている人の方が少ないらしい。
最初マシンを使って歩き方の矯正した。
体に染み付いた習慣のため、最低1ヶ月は継続した。
正しい歩き方をすると動きがスムーズであること、
また傷みがほとんど出ないことが体感できる。
そのうち、足を引きずることはなくなった。
早足で歩いても、あまり問題がないレベルになる。
この段階になると自分で自信がつく。
「負のサイクル」から脱出する第一歩だ。
最初3ヶ月間は1週間に一度、その後は間隔を
あけ、トレーナにチェックしてもらって歩き方を矯正。
実際に指導とは言っても、歩き方トレーニングだけを
受けていた訳ではない。
歩くのに必要なインナーマッスルも同時に鍛えていく。
時間を効率的に活用できる。
負のサイクルから抜け出すために、歩く動作について、
一度正しい方法を習得してみてはいかがであろうか?
痛みの原因は、意外に日常生活のささいな生活習慣に
潜んでいるのかもしれない。