中国4000年の力 Chapter 1-⑪
結局1年継続治療したのは2つ。
大手整体院と、鍼治療院のみ。
もちろん定期通院している整形外科医院は別。
でも、人間ずっと同じだと飽きる。
効果もいまひとつ長続きしない。
頭部皮膚が弱く、今も皮膚科に通院している。
治療目的もあり3年前からスキンヘッド。
毎回主治医から出される服用薬。
3ヶ月に一度薬が変わるので理由を聞いてみた。
「同じ薬だと効き目が弱くなるのでね」
薬の効果と、体の効果も一緒なのだろうか。
たまに鍼治療を浮気して計20回くらい通った。
それが埼玉に何店舗が展開する整体院。
通勤時に目にした「2980円」の看板がきっかけ。
ビルの5階くらいの狭い場所にベッドが5つ。
白衣を着た若い男性の先生ばかりが3~4名。
私の担当は日本語を話す中国人、K先生。
「ど、しましたか?」
「ヒザとコシ、それに股関節・・・」
「コカン?」
「ああ、このあたり(股関節を指す)、イタイです」
「コキャンセツね、確かに張ってますね。
ダイジョブです。良くなります。」
K先生は強烈な力で上半身下半身をマッサージ。
整体院のソフトな押しに比べると、雲泥の差。
160センチで中肉中背で、見た目の普通の体格。
「カタイですね」
そう言うとこれまで以上に力が入ってくる。
少しやせ我慢しないと思わず「イタっ」。
声が出てしまうくらい。
「イタイ?」
「はい」
「わかりました。チョト弱くします。」
「お願いします」
きちんと日本語は通じるのが救い。
この先生、治療途中で日本語で雑談を試みる。
「Mナガさんはスポーツはするんですか?」
「はい。今は筋トレをやってます」
「どこかジムにハイッテルんですか?」
「ええ、駅近くのGジムに行ってます」
「あそこは費用がタカイでしょう?」
・・・・
日中交流で中国裏事情まで教えてもらった。
日本語は来てから勉強された努力家。
60分の施術で、50分はK先生のマッサージ。
最後10分は電気を当てて終了というメニュー。
あれだけ力をこめて50分の全力整体は大変。
おまけにこの治療院は年中ほぼ無休。
朝9時から夜9時までの営業。
平日夕方と夜、平日休みの朝、土日の昼
など予約した時間はバラバラ。
それでも1回を除いてすべてK先生担当。
私の完全担当制だった。
「今日夕方空いてますか?」急な電話もした。
「あ、●●オオミヤ店です」
「今日はこのあと空いてますか?」
「お名前は?」
「Mナガです」
「あ、Mナガさん、Kです。 今日、ダイジョブ。
待ってます。」
施術以外に、精力的に電話対応もこなす。
考えてみれば、朝から晩まで休みなし。
超ブラック企業である。
労働基準法は完全に逸脱している。
実は、K先生は将来中国で治療院開業が夢。
夕食はいつもコンビニで買ったおにぎり2つ。
毎日朝9時から夜22時まで働くのだそう。
とまれ、肝心な効果はというと、
強烈な力で押された後、かなり気持ちいい。
これまで強烈に押された場合、翌日「もみ返し」がある。
しかしK先生の場合は、ほぼ感じない
技術は本場中国の治療院でマスターされたらしい。
さすがに中国4000年の歴史の重みだろうか。
たとえ外国人であっても、治療の腕はもちろんのこと。
口と耳のスキルは大事なのだ。
おまけにK先生の夢にいたく共感。
ついに浮気が20回も続いたのだった。
懐かしいなあ。
もうK先生は中国でK治療院を開業されたかなあ。