整体院は口と耳のスキルが大事 Chapter 1-③
6回回数券を購入して、O先生の整体を続けていた。
通院のたび、O先生の軽妙なトークは相変わらず炸裂。
この整体院は、男性客が3割、女性客が7割程度。
圧倒的に女性客の比率が高い。
女性の先生も何名か在籍しているくらい。
男の先生に体を触られるのを嫌がる若い女性にも配慮。
気兼ねなく通院してもらえる仕組みは大手ならでは。
そんななかO先生は、トークの巧みさゆえであろうか。
女性の固定客が多いのが特徴。
8名くらい在籍している男性の先生の中でもダントツ。
施術の効果より、いつの間にかO先生の話に魅了。
先生の話の内容を楽しみに通院していた。
実は私はどちらかというと口下手。
特に女性との話のきっかけ探しを相当苦労するタイプ。
それだけに、どこからトークの題材を探しているのか、
どのようなタイミングで話を切り出すのがよいのか、
O先生から施術を受けながら学んだことは多い。
まさに私のとっては、話し方の先生になっていた。
6回の回数券を3回目に購入するとき、ふと気づく。
そういえば、ヒザや体の状態はあまり良くなってない。
否、どちらかといえば悪くなっているではないか。
いけない、ことばや話にだまされてはいけない。
整体院に通う本来の目的はヒザや股関節を治すため。
女性とのトークの技術を高めるためではない。
そこでO先生からの機関銃のようなトーク展開前、
「実はヒザのここが痛む」
「歩くと左の股関節がうずく」
困っている体の状況を先手を打って相談。
O先生は私の話をよく聴いてくれた。
話の量はいきなり50%に削減。
「どうですか」「痛みは取れましたか」
私からのプラスの返答がでるまで、
時間ぎりぎり、もしくは延長して施術。
口だけはなく、耳のスキルも高い先生だった。