Y●式新頭ハリ療法体験 Chapter 1-⑧
某日午後4時、10分前に地下鉄南北線の某駅に降り立つ。
目指すハリ治療院は駅改札から5分ほどで到着。
大き目の道路沿いに、よくありがちな佇まいの治療院。
「Y●式新頭ハリ治療」
看板や貼紙、ポスター等で目立った露出はしていない。
受付で待つこと5分経つと、黒ずくめのH院長登場。
「やあ、よく来たね。場所、わかった?」
真っ黒に日焼けして口元にはひげを蓄え中肉中背。
例えると先日亡くなられた小出監督と似た風貌。
色つきのめがねを取った小出監督だ。
違うのは七三に分けた髪型くらいであろうか。
ベッドに案内されて、すぐに治療スタート
すぐに頭部に打つのかと思いきや、
まずは仰向けで10~15箇所位全身にハリ。
ズシンとくる感覚は何度打っても嫌な感じだ。
ハリを打っている最中も、H院長のフランク
(無遠慮?)な言葉遣いは変わらない。
「何か運動してたの?」
「マラソンを・・」
「そう、実は家内が東京マラソンに当選してね。
俺も練習に付き合ってるんだ」
「すごいで・・・」
「そだろ、当選倍率10倍以上だもんな。・・・」
全身へのハリを抜き終えて「さあ頭、打つよ」
相変わらず軽いノリであっさりと始まる。
さすがに頭部はハリを打つのに集中するのか、
と思いきや、やはりノリは変わらない。
(実は私、スキンヘッドである。)
「坊主頭はいいねえ。
ハリを打つ場所がハッキリわかる。
髪の毛が多いと、ハリが打ちにくいんだ」
(別に頭部ハリ治療のためじゃないよ)
「助かる。これなら5分で全部打ち終える」
(急がず、慎重にやってくれ!)
人生初めて頭部にハリを打たれる。
緊張しているこちらからすれば慎重にやってほしい。
しかし、このガサツな院長には無理か。
10~12本予定通りあっという間に頭部にハリを打たれた。
ただ、痛みやズシンという感覚もない。
何か刺さったというより、軽い異物を置かれた感覚。
「どうだ、まったく痛くないだろう。
もうこの治療を5年以上やってるからなあ。
あんたで100人目くらいにはなるよ。」
(計算すると年に20人、月に1~2名だけ?
誇れる実績としては、少なくない?)
そのまま10分くらいハリを刺したまま横に。
院長が出て行って、静寂が流れる。
これで効果がなかったら、もう止めた方が。
10分後に、院長再登場。
「大丈夫か?」
「あ、はい・・・」
「じゃ、抜くよ。」
「やはり抜きやすいな。この頭は・・・」
頭部のハリを順番に1本ずつ抜かれる。
特に痛みも何も感じない。
頭部に乗せていた異物を一つずつ除いた感覚。
「ヒザが痛むのか?」
「はい・・・」
「わかった。じゃ置き針しておくよ。
しばらくそのまま置いておいてよ」
「万一取れたら、どう・・・」
「まったく問題ないよ(笑)。」
「風呂に入るときに・・・」
「風呂はいるときはっ自分でとるだろ(笑)」
実際の数ミリのハリがついている丸い絆創膏。
左右のヒザに4箇所貼ってもらって治療終了。
受付で院長に5000円渡すと、すかさず
「来週も同じ水曜日でいい?
同じ時間がたまたま空いているから。」
「はい。わかりまし・・・」
「じゃあ、待っているから。お大事に!」
(院長以外の全員のスタッフから)「お大事に!」
この治療院の定型的なあいさつのようだ。
こうして2回目の予約を取って帰る素直な性格、
どうにかならないか。